カスタマーサクセスの実践を通じて自社を変え、顧客に大きな価値をもたらした挑戦者の功績を表彰する『カーディ賞(Cardi Award)』。発表・審査を経て、日立ソリューションズ・クリエイトの関梓氏が『カーディ賞2025』を受賞されました。
本記事では、同氏の発表(10分)の全容を、受賞後のコメントと併せてご紹介します。
1. 本記事のポイント
- カスタマーサクセスが属人化・無償奉仕の状態にあった伝統的な日本の大企業で、担当者が覚悟を決めて変革を起こし成果を出した事例
- SuccessGAKOの「スケールCS」講座で学んだ「とにかく実行!」精神を頼りに、キーマンを巻き込み組織体制を拡張した効果的なアプローチ
- 「みんなでCSをやる」ための教育・ルール・仕組みづくりを地道に実行
- 無償で行っていたカスタマーサクセス活動に価格を付け、業務価値と役割を明確化
- 結果として、組織体制の強化と顧客価値の向上とを同時に実現
- 再現性ある最大のポイントは「とにかく実行」というシンプルだが強い行動指針
2. 発表全容
ご挨拶と自己紹介
皆さん、こんにちは。日立ソリューションズ・クリエイトの関梓です 。

私が所属する日立ソリューションズ・クリエイトは社員約4,000名の会社です。そんな大きな会社で、担当レベルの私が試行錯誤しながらやってきたことをご紹介します。
発表内容の要点
今日は2つのことをお話します。1つは「個人へのノウハウの偏り」。そしてもう1つは「業務範囲が定まっていない」ことです。

まず1つ目です。
当社は社員が4,000名もいる会社なのに、数年前まで、カスタマーサクセス担当者は2名しかいませんでした。当時はみんな、「カスタマーサクセスは、特定の担当者2人がやるもの」という認識でした。そして、私たちは売れた後のフォロー全般を担う「何でも屋」でした。
正直、当時はとても大変でした。
そこで、私は考えました、「このチームに私が配属された理由は何だろう?」と。そして、「もっと価値ある役割を担えるはずだ」と思いました。
さらに、自分のためにも、会社のためにも、カスタマーサクセスをみんなでやって成長していきたい、成功していきたい、と思いました。それで、「そのためには、誰に何と言われてもいい」と覚悟を決めました。
私が覚悟を決めるキッカケになったのは、昨年受講したSuccessGAKO(サクセス学校)の「スケールCS」講座でした。

「スケールCS」講座を受講した当時、私は、「スケールするにはまだ課題が多い」「簡単ではないな」と思いました。なぜなら、組織のミッションと私たちの体制に大きなギャップがあったからです。
会社のミッションは、CSの考え方を基盤にした事業拡大と、主力サービスの継続契約率50%でした。

一方で、当時の私たちは、カスタマーサクセスは特定の担当者2人のもの、その2人が頑張ればいいじゃない、という状態で、組織としての推進体制は発展途上でした。
そこで、私が一番最初にやったのが、①キーマンを巻き込んだ人員増員です 。

スライドの「STEP1 キーパーソンへの相談」は、簡単に言うと、「上位職の方」に「人を用意してください」と依頼することです。
そう聞いて、「そんなのできるわけないよ」と思うかもしれません。けれど、いきなり話しづらいと感じる相手に声をかけなくても大丈夫です。
私の場合、何よりも私にとって話しかけやすかった人、そして社内のキーパーソンに1on1を申し込みました。彼から理由を聞かれた時、「あなたが一番話しかけやすいからです」と即答しました。
そして、私は彼に、私たちが本当にやりたいこと、つまり、カスタマーサクセスを全社でやりたいということと、そのためには開発部門の人を用意してほしいということをお伝えしました。
それを聞いたその方は、私からは直接お話しする機会のない開発部門の方に対して、私の思いを伝えてくださったのです。
スライドの「STEP2 味方づくり」、これは私の所属部門の「上司を励ます」ことをやりました。

上司は当初、部門間の調整に慎重な姿勢でした。けれど、彼は私と同様に、カスタマーサクセスをみんなでやっていきたいという夢がありました。
「一緒にやりましょう」「2人で伝えましょう」と何度も働きかけました。そうしたら上司が、「分かった、やってやろう」と、やっと言ってくれました。
スライドの「STEP3 公式な場での提案」は、私の上司と開発部門の責任者を含む、皆さんが集まる会議の場で、私が切り出しました、「開発部門でも人を用意してください」と。その時、私はもう覚悟が決まっていたので、何も怖くなかったです。
開発部門の責任者から率直な質問があり一瞬緊張しましたが、上司が援護してくれました。
その結果、開発部門から2名の人員を用意してくれることになりました。
たったの2名ですが、私たちにとっては大きな一歩でした。

まずは、社内でカスタマーサクセスの基本教育を実施しました。
すると、開発、企画、営業から、「みんなでお客さまの成功について考えてみたい」という声が、だんだん聞こえるようになってきました。
次に、仕組み作りです。

ポータルサイトの作成とか、テンプレートの整備は皆さんもやられると思うのですが、なかなか使われないと思います。
そこで、ルールを整備しました。例えば、顧客カルテの場合、カルテを書かないとカスタマーサクセスは動き出しません、というトリガーを用意しました。そうすることで、営業も少しずつルールを守ってくださるようになってきました。
最後に、2つ目のお話、「業務範囲が定まっていない」ことです。具体的には、私たちがやっていたカスタマーサクセスの支援活動に価格をつけました。

それまで無償奉仕として行っていたカスタマーサクセス活動の工数を洗い出して一覧化し、それを皆さんに見てもらいました。
そして、「これだけの活動をやって継続契約率が90%を超えるのなら、お金をもらってやらないともったいない」と伝えました。そうしたら、やっとみんなが気づいてくれたのです。
こうして、それまで私たちが無料でやっていたカスタマーサクセスの業務に値段がつきました。価格をつけたことで、カスタマーサクセス活動の見られ方も変わりました。
営業には「対価をいただく業務」、お客さまには「お金を払う価値のあるサービス」として認識されるようになりました。
こうした行動によって、2つの成果が得られました。

①組織体制の強化と、②お客さまへの価値提供の強化、この2つを実現できました。やっと、組織のミッションに沿う私たちの理想の姿になることができました。
ここで再現ポイントです。
皆さん、何だと思いますか?スケールCSの受講生なら絶対分かると思います。

「とにかく実行!」です。
スケールCSの小泉先生がいつも言っていた、「とにかく実行!」という言葉を皆さんにはぜひ覚えて帰ってほしいと思います。
発表内容のまとめ
最後にまとめです。

今日、皆さんに最もお伝えしたいのは、「とにかく実行」です。
組織の問題は私にはどうにでもできない、と皆さん思うかもしれません。けれど、そんなことはない、と私は思っています。あなたが行動しなければ、あなたが倒れるだけです。あなたの組織の問題なのですから、あなた自身が変化を起こしていってほしいです。
あとは、諦めない、くじけないという点もとても大事です。
ぜひ皆さんも覚悟を決めて一歩を踏み出してください。カスタマーサクセスに関わるすべての方がハッピーになれる世界を一緒に作っていきましょう。
ご清聴ありがとうございました。

3. 表彰後の受賞者コメント
同じ悩みを抱える方の代弁者になりたいという思いから、当時の活動をリアルな言葉でお伝えしました。SuccessGAKOで学んだ「とにかく実行!」の精神は、理解していてもなかなか実践できず、そこがボトルネックになっているケースがあると感じていました。
プレゼン後の交流タイムでは、「私もやります!」だけでなく、「過去の自分を思い出した」「またやる気が湧いてきた」といった声をいただきました。さまざまな立場の皆さまの背中を押すプレゼンができたことを嬉しく思っています。投票してくださった一票一票に、応援の気持ちを感じています。
私は、顧客も自社も、SuccessGAKO受講生も自分自身も、すべてカスタマーだと捉えています。そして、カスタマーが成功できるような働きかけを続けていきます。
この度は素晴らしい賞をいただき、心より感謝申し上げます。

4. カーディ賞(Cardi Award)について
カーディ賞は、デジタル時代における日本企業の競争力向上を願い、カスタマーサクセスの実践を通じて自社を変え顧客に大きな価値をもたらした挑戦者の功績を称える表彰制度です。

カスタマーサクセスの未来を作る変革リーダーを輩出する学び場、SuccessGAKO(サクセス学校)を運営するサクセスラボは、カスタマーサクセスの実践を通じて自社を変え顧客に大きな価値をもたらした挑戦者の功績を表彰する『カーディ賞(Cardi Award)』を創設。
2023年11月14日に第1回受賞者を発表しました。選出にあたっては、SuccessGAKO 受講生約300名の中からエントリーした7社7名が各社の取り組みをプレゼンし、挑戦・変化・成果・貢献の4項目毎に投票を行いました。
SuccessGAKOの受講生の多くは大企業に所属します。大企業がカスタマーサクセスに取り組む際には、事業モデル、組織、業務、企業文化や個人のマインドセットなどの変革を伴います。そうした変革とセットの事例を共有・表彰することにより、カスタマーサクセスに取り組み成果を出す日本企業が増えることを願い、本表彰活動を続けていく予定です。
なお名前は、SuccessGAKO のキャラクター名に由来しています。
カスタマーサクセスに挑戦する人が、知恵と勇気と仲間を手にする実践者コミュニティ「SuccessGAKO」
SuccessGAKO(サクセス学校)はカスタマーサクセスの未来を創る挑戦者を輩出する学び場です。カスタマーサクセスを追求するのに必要な知識を学び、自分で考え、実行することで、自社、顧客そして自身も成功することを目指す人のために誕生しました。経験豊富な講師陣による講義と受講生限定のコミュニティとが共鳴し、一方的な知識の習得でなく、仲間と切磋琢磨しながら行動することに価値をおいた実践者コミュニティです。
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