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圧倒的成果を生んだプリセールス&ポストセールスの連携事例

作成者: 弘子ラザヴィ|Jul 27, 2020 6:30:00 AM

世界最大のカスタマーサクセスカンファレンス「Pulse(パルス)」。今年、2020年5月はコロナ禍の影響で初のオンライン開催となり、世界中から2万2000人が参加しました。

Pulseから印象に残るセッションを取り上げ、毎回異なるゲストと日本企業の視点で語り合うウェビナーが「Pulseシェアリング」です。本コラムではそのウェビナーでの学びをぎゅっと凝縮してレポートします。

日常的にカスタマーサクセスが語られるベイエリア

初回のゲストは、日立ソリューションズアメリカの北林拓丈氏。

同社は2007年からベイエリアに駐在員を置いての活動を開始。北林氏は4代目として今年1月に赴任し、おもにスタートアップとのパートナーシップと、日系企業コラボレーションによる事業創生の二つをミッションに活動しています。

北林氏は言います。

「赴任後にまず衝撃を受けたのは、ベイエリアではカスタマーサクセスという言葉が当たり前に使われていたことです。SaaSは売って、使ってもらってからが始まり、という考え方が浸透していたことでしたね」

「パートナーシップの議論中、『カスタマーサクセスはどうする?』という言葉が普通に出てくる。一方、日本側はまだ認識が浸透しておらず、『カスタマーサポートの窓口を置きます』とアンマッチな回答をしてしまうことも実際に起きていました」

そんな経験をへて、米国のカスタマーサクセス事例を知ろうとPulseに参加した北林氏。Splunk(スプランク)のケヴィン氏のセッションが特に印象に残ったと言います。

「提供するシステムを徐々にクラウドにシフトし、課金形態もサブスクリプションに移行。この2020年には完全にクラウドファーストへ舵を切ると決めて、営業とカスタマーサクセスを連携された話です。とにかく両者の連携が大事だ、という熱いセッションでした」

プリセールスとポストセールスが手をつないだ先に見えるもの

Splunkは2003年にベイエリアで生まれ、2012年に上場し、日本にも進出。売上2000億円、時価総額3兆円になる今後の期待も高い企業です。

企業内のあらゆるデータを収集、管理、分析して、インサイトを抽出。企業内で活用するためのプラットフォームを運営しています。

「弊社で販売代理もしていますが、そのシステムの使い方は複雑。直感的に使えるものではなく、おもに利用するシステムエンジニアであっても、最初にどうやって使っていくかが分かりにくいサービスだと思います」

「そこに対してSplunk社は、カスタマーにどうなっていってほしいかのビジョンを立てて、成熟レベルの段階を定義。納得して活用ができるように、この内容はこのレベルまでといった規範を用意して、カスタマーサクセスで細やかにサポートを実践していきました」

「今回のセッションでは、特定の用途に詳しい人だけが使う製品でもカスタマーサクセスは重要で、むしろ使い方がよく分からないサービスほどより重要なのだと改めて認識できました」

以下の図には、その施策の驚異的な成果が示されています。

初回購入に結び付けるセールスやマーケティングなどの活動である“プリセールス”と、購入後に顧客満足度を高めて需要を維持・拡大するカスタマーサクセスなどの活動である“ポストセールス”。

この二つが連携した取り組みの結果、カスタマーに製品価値を素早く実感してもらえるようになり、生産性が上がって、利用機会も拡大。購入者のアップセルは74%アップ、その実現スピードは3倍にも伸びました

「Splunk社ではプリセールスがカスタマージャーニーを描き、ポストセールスがそれを実行する形で両者の連携を実践する。カスタマーサクセスに関しては、プロダクト利用データを取って、スコアリング評価して見通しを立てながら、合わせてセールスのデータと紐付けて、ARR(年間経常収益)やチャーン(解約率)などを見ていく形で進められていました」

売り切りモデルからリテンションモデルにシフトしていく時代において、プリセールスとポストセールスはもはや前後で切り離せるものではないとSplunkの事例は告げています。

「ケヴィン氏は、両者が協力し合うことがとにかく大事だ、と繰り返していました」

プリセールスとポストセールスのそれぞれが、これまでのスキルや知見を活かしながらも、いかにお互いを受け入れて業務をつなぎ、より新しいセールスのあり方を全体で生み出していけるか。そこに大きな事業インパクトを生み出す挑戦があると感じられる事例です。

今こそ、“メイドインジャパン”のカスタマーサクセスを

「日本ではこのユースケースを丸ごと取り入れるというよりは、どこを取り入れるかを決めて、まずそこからやってみるのがひとつの切り口かなと思いますね」

Splunkの作り上げた世界には、私たちが学ぶべき点が多く示唆されています。

例えば、共通の指標が数字だけになってしまうと味気ないので、プリセールスとポストセールスで共通のカスタマージャーニーを作ること。ただそのまま真似をしてもうまくいきにくい、と北村氏は提案します。

「Splunkではプリセールスがカスタマージャーニーを描き、ポストセールスがそれを実行していく分業スタイルでしたが、日本に合うのは、両者一緒にプロダクトチームを作って、みんなでコンセンサスを取りながらカスタマージャーニーを作っていくスタイルだと私は思っています」

「このコロナ禍の5カ月で、5年の歳月が流れたかのようなスピード感が出てきています」と 北村氏は言います。

「図らずもこのコロナ禍においてリモートワークが日本でも普及してきて、リテンションモデルは今まで以上に導入され、SaaSが当たり前に使われる世界になるのは間違いない。日本企業もそれを進めていかざるを得ない状況だと思うんです」

リテンションモデルへのシフトには、以下の4つの変化が必要だと続けました。

1)ITツールなどの仕組み
2)業務プロセスや組織の制度
3)効率的に実践できる組織体制
4)関わる人びとのマインド

「プリセールスである営業が、旧来の売り切りモデルにフォーカスしたままだとリテンションモデルへのスムーズな移行は難しいですが、じゃあいきなり『マインドを変えましょう!』と言ってもなかなか変わらないものですよね。

そこは仕組みや評価制度が変わって、ようやくマインドが変わっていく

「新しい時代はすぐそこに来ていますし、諦めずに変化に向けて取り組んでいかないといけないと思っています」

海外での先行事例から謙虚に学び、そこから“メイドインジャパン”のやり方を考え、大きな変革を進めていく。日本には今、そのタイミングがやって来ています。

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