SuccessGAKO(サクセス学校)は、カスタマーサクセス人材の育成を通じた女性のキャリア支援にも力を入れています。
日本社会ではこれまで、能力の高い女性が結婚や出産といったライフイベントでキャリアを絶たれたり、非正規雇用によって能力を発揮する場が限定されたりするケースが散見されてきました。
SuccessGAKOは、自分らしい働き方や生き方を目指す女性のキャリアを支援する「サクセス女子キャリア奨学金」を創設。標語の『Being Myself(自分らしく生きる)』に共鳴し、未経験からカスタマーサクセスへの転職を目指す女性5名が奨学生として「認定カスタマーサクセス」を受講しました。
その中の1人、新井有紀さんは、11歳男子を育てるシングルマザーです。
結婚や病気でキャリアが途切れた約10年のブランクをへて正社員として復職。さらにキャリアアップを目指してサクセス女子キャリア奨学金の門を叩いた背景には、志半ばで亡くなった配偶者への思いがありました。
受講後にカスタマーサクセスへの転職を果たした新井さんのストーリーをご紹介します。
外資系ITセキュリティ企業のインサイドセールスとして働いていた2022年秋に夫と死別しました。
シングルマザーとして子供を育てるにあたって収入を増やしたいという気持ちに加え、営業職として道半ばで逝った夫の分も、働いた”証”を残したいと思ったことから、キャリアチェンジを考えました。
以前は、夫が転勤族だったので、いつ訪れるかわからない引っ越しに備える生活でした。夫や家族のサポートを優先して、私の夢は少しだけ実現できれば…という気持ちで仕事をしていたので、夫との別れがなければキャリアチェンジを考えることもなかったと思います。
写真:新井さん(左)と息子さん(右)
それが、私の場合は『カスタマーのサクセス』なんです。
前の会社で営業になる選択肢も考えましたが、そこは私の強みが活かせる場所ではないと思いました。
営業の経験が長く、仕事で辛いことも多かったですが、思い出すのはお客様から感謝された記憶ばかり。『お客様に寄り添うことができる』という強みを活かせる仕事をして、会社や社会に貢献したいと考え、たどり着いたのがカスタマーサクセスでした。
ちょうど、キャリア奨学生募集の案内が届き、迷わず応募しました。
実家が町の電器屋でした。常に『お客様が何に困っているか』を考えて動いていた父母や祖父母の姿を見て育ったので、お客様の声を聞かないと何も始まらないという考え方が身に着いたのかもしれません。
大学卒業後も、総合職で営業ができる企業を選び就職しました。そこはリネンサプライの会社で、お客様との契約期間が長く、売って終わりではなかったので、お客様との関係づくりにがむしゃらになって打ち込みました。
金曜日は終電後も仕事をして、土曜日の始発で家に帰るような日々。仕事が多すぎて手が回らない。それなのに、仕事をやってもやっても評価されない状況に疲れ、全く違う業界で挑戦してみたい、併せて「内勤営業」という職種は当時の私にはとても斬新に映り、外資系IT企業に転職しました。
お客様の声を聞きながら数字を取るというスタイルを、この会社で身に着けました。
目標の達成率に応じて収入が変動する分、達成までの道のりは厳しかったですが、お客様の困っていることを把握して、課題を解決するためにあらゆる角度からアプローチしました。
1つのプロダクトで解決できなければ、別のプロダクトを紹介して、ハードウエアがダメならソフトウエアを。新規のお客様には、ひとまずライセンス契約だけでも…。もちろんキーマンも1人ではありません。
こうして、それまで関心のなかったお客様の心が動いて、商品に関心を持ってくださった瞬間が一番ワクワクする時でしたね。
写真:新井さん
IT企業で働いているときに、転勤族の夫と結婚しました。
3か月は別居で仕事を続けましたが、同居するために1度退職し、夫の転勤に伴って再度同じ会社へ入社しました。再入社の時には、退職までに積み上げた実績がすべてリセットされてしまい、悔しい思いをしたことを覚えています。
出産後に病気を発症し、8年近く働けない期間がありました。
ようやく体調が落ち着いて、どんな仕事でもいいから働きたいと思って就職活動をしました。しかし、夫が転勤族でいつ引っ越しがあるかわからないうえに、子供が小さいと全然雇ってもらえない。自分ってこんなに働けない人間だったのかと悲しくなりました。
ようやく採用されたテレアポ職でアルバイトとして働き、社会復帰できる自信もついたので、2022年に10年ぶりに正社員として転職しました。
それが前職のインサイドセールスです。フルリモート勤務だったので、夫がどこに転勤しても働き続けられると思って決めましたが、その年の秋に夫が急逝しました。
写真:息子さん
冒頭でお話した通り、夫の分も仕事を通じた社会貢献をしたい。そうしないと、やり遂げられないまま旅立った夫の無念が忘れ去られてしまうような気がしていました。
息子の存在もあります。
平日は忙しく帰りも遅い夫でしたが、休日は家族との時間を大切にする人で、息子とは友人のような関係でした。夫が亡くなったことで、息子が仕事に対してネガティブな印象を抱いているように感じたので、私を見て仕事の楽しさや、やりがいを感じてほしいと思ったことも転職を考えた理由です。
写真:息子さんからの手紙
現職もフルリモートですが、マネージャーの呼びかけで週1度は出社しています。出社日でも、私は息子が学校から帰る時間に間に合うよう退社させてもらえているので、転職前と大きく変わりません。
ユーザー会などで夕方に仕事で外出する時は、ファミリーサポートの方に夕飯までお願いすることもあります。ありがたいことに、信頼できるサポーターさんに巡り合うことができ、息子も理解してくれています。
息子はシッカリ者で、同志のような存在です。彼の応援は、私にとって大きな原動力です。
転職エージェント経由のエントリーも含めると、50社は応募しました。その中で書類が通ったのは1、2社。
自分で決めたことは絶対やりきると腹をくくっていましたが、40代、しかもロールチェンジの転職は厳しいことも多かったです。
そんな中、SuccessGAKOで弘子さんや先生方との1:1や、カスタマーサクセスの現場で活躍される先輩方とのオンライン交流の機会などで、いろいろな角度からフォローしてもらえたことが今に繋がっていると思います。
今の会社はLinkedIn経由でエージェントに声をかけてもらいました。もし弘子さんから、『LinkedInへの登録は絶対必要』と言われなかったら、きっとまだ登録すらしていなかったと思います。
写真:今の職場から届いた花籠
私が参画したカスタマーサクセスチームは試行錯誤のフェーズです。
例えばオンボーディングがうまく進んでいなかったり、取り組みのなかで「Who起点」が少し弱いと感じる部分があったり。入社後のビックリ度は150%でしたが、その分伸び代が大きく、やりがいのある環境です。まずはCEOを交えて顧客理解を深めるための話し合いをしようと提案しました。
未経験の私が、会社の状況を分析し、改善策について余裕を持って考えることができているのは、認定カスタマーサクセスで学んだ経験があるからです。
受講中はカスタマーサクセスの仕事をイメージしづらく、分かったつもりになっていた所もありました。現在は習ったことがそのまま目の前で起きているので、頭で理解していた知識の点と点が線になって繋がっていくのを感じています。
同期の仲間の多くは現役のカスタマーサクセス職の方で、皆さん講義を聞いて『うんうん』と深くうなずいていましたが、その深さの意味を今ようやく理解できました。
今の会社、EQIQ株式会社は、希望していたSaaSのスタートアップであり、会社の取り組みに魅力を感じて入社を決めました。
担当プロダクトの「Attuned(アチューンド)」は、モチベーションを可視化して、自己理解、相互理解はもちろん、チームビルディングなどが進むことでより良い職場環境を構築できるツールです。これを使えば日本の働き方のおかしな部分を改善することができると思うし、もしかしたら夫の人生も変わっていたかもしれないな…と。
仕事だけでなく、家庭や恋愛など生活のあらゆる場面で活用できるので、5年後には日本でAttunedが共通言語になるよう認知を高めることが目標です。そのためにカスタマーサクセスチームを強化し、チームをリードできる立場を目指します。会社は、近い将来の上場を目標にしているので、実現できたらいいですね。
私は常に成長できる環境に身を置きたいタイプです。Attunedによると『成長』が一番のモチベーターでした。 これからも成長を続け、カスタマーサクセス職を極めます。そして、密かな目標としているCCO(チーフカスタマーオフィサー)にたどり着きたいです。
私は夫と死別し、普通に生きていられることが普通ではないことに気付きました。
一度の人生、やりたいことをやるのが一番です。皆さんにも、『Being Myself』という言葉の通り、自分らしく生きてほしいと思います。