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    カスタマーサクセスリーダー4人の「ある1日」に学ぶ仕事術

    2020年1月に米国で発売され、多くの実務家に愛読されている『The Customer Success Professional’s Handbook』。本書を弘子ラザヴィが翻訳した書籍『カスタマーサクセス・プロフェッショナル』が、今年2021年3月に日本で発売されました。

    新刊発行を記念して、豪華なゲストをお招きし、書籍の内容を題材に語らうウェビナーが「#CSプロ本 読書会」です。

    今回は、第1部は書籍より「カスタマーサクセスの可能性について」をご紹介。そして第2部では「あるカスタマーサクセスリーダー(私)の1日」と題して、カスタマーサクセスの実践経験が豊富なゲストスピーカー4名に、ハイタッチやテックタッチなどそれぞれの特徴ある一日のスケジュールや仕事術をご披露いただきます。

    <ゲストスピーカー(五十音順)>

    礒野 亘 氏(beBit/カスタマーサクセス)
    岩田健吾 氏(Repro/カスタマーサクセス/PMM)
    小泉雅人 氏(Cisco/アジア太平洋・日本・中国地域担当マネージャ、デジタルカスタマーサクセス&プラットフォーム)
    是村 潤 氏(CircleCI Japan/日本およびAPAC統括ディレクター、カスタマーサクセス)

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    Part1:カスタマーサクセスの魅力と可能性


    この#CSプロ本 読書会について

    弘子ラザヴィ(以下、弘子):

    まず最初に、「#CSプロ本読書会って何?」という話をさせてください。

    #CSプロ本 とは、今年2021年3月に発売した翻訳書『カスタマーサクセス・プロフェッショナル』(2020年にアメリカで発売された原書は、Amazonで星5つの最高評価が8割。多くの方に愛読されている)の略称です。

    そして、#CSプロ本 読書会とは、この本の中から毎回キーワードを取り上げつつ、あえて本から離れて、私がゲストスピーカーの皆さんとカスタマーサクセス談義をしていくウェビナーです。

    なぜそんな場にしたのかには意図があります。皆さんご存じと思いますが、カスタマーサクセスは頭で理解して満足して終わってはいけないんですね。行動が伴って初めて価値が出るものですので、この読書会も本を読んだその先に、皆さんの行動を誘発したい、あるいは実践に役立ててほしいという思いで企画しています。

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    カスタマーサクセスマネージャーはCEOにも続く道

    まずはじめに、書籍『カスタマーサクセス・プロフェッショナル』より、カスタマーサクセスの魅力を簡単におさらいしましょう。

    結論からいきます。

    カスタマーサクセスは、“引く手あまた”で、“カッコよく”て、”豊かな人生を送る”ことのできる仕事です。

    引く手あまたと言えば、必ず出てくるのがこのLinkedInが毎年公表しているレポートです。

    「Most Promising Jobs(一番有望なキャリアって何?)」と題して、彼らの持つデータに基づき、基本給や求職数、出世スコアを評価しています。

    カスタマーサクセスマネージャーは非常に評価が高いですが、その中でも出世スコアは満点の「10」、すごく目を引きますね。この出世スコアというのは、その職に就いた人が10年後にどうなっているかの評価指標です。

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    では、カスタマーサクセスマネージャーが出世して行き着く先はどこでしょうか。

    例えばジェニー・ホワイトサイドさんをご存じの方は多いかもしれません。ウォルマート社のCCO(チーフカスタマーオフィサー)です。そう、CCOという選択肢がまず1つあります。

    さらには老舗ベンチャーキャピタル、ベッセマー・ベンチャーパートナーズ社のパートナーであるバイロン・ディーターさん曰く、最近強く感じるのは、カスタマーサクセスリーダーが凄く速いスピードでキャリアアップすることだそうです。経営センスやスキル、かつ定量分析のスキルをを局面で使いこなすことができ、経営メンバーになれば人間性やマインドも大幅に鍛えられる、まさにCEOに続くキャリアなんだとよく話をされています。

    実際に、CCOからCEOになった方がいます。

    たとえば皆さん、ミッシェル・ガスさんをご存じでしょうか。P&Gのマーケッターからキャリアをスタートして、一貫してtoC向けビジネスの要職に就かれ、2013年に「KOHL'S(コールズ)」という、売上高およそ2兆円、全米最多の1,000店舗以上を誇るアメリカの百貨店チェーンを経営する会社のCCOに抜擢。そこでさらに実績を上げて、5年後の2018年にはCEOに就任され、2021年現在でもCEOとして大活躍されている女性です。

    このように、ジェニー・ホワイトサイドさんもミッシェル・ガスさんもですが、カスタマーサクセスは女性が多く活躍する分野でもあります。

    もちろん、男性もいらっしゃるので、安心してくださいね。

    Box社のCCOのジョン・ヘルシュタインさんは、アクセンチュア、インフォマティカ、オラクルなどを経て、2011年にBoxに参画され、2018年にCCO就任。

    『カスタマーサクセス・プロフェッショナル』に16人いる寄稿者のうちの1人です。Part1の結びに、彼のエピソードから私の好きなフレーズをご紹介します。

    "カスタマーサクセスマネージャーは、困難ではあるがやりがいのある仕事だ。求められるのは、多様なスキルと頑固なほどの粘り強さのハーモニーである。”
    “カスタマーサクセスマネージャーは、今の仕事は他にもっと良い仕事につくための通過点ではなく、本腰を入れて注力し追求すべきキャリアだと気づきだした。"

    "カスタマーとの間に長期的な関係を構築することに関心を持っており、1つ1つの取引にひもづく報酬(コミッションや報奨金)よりも、カスタマーが本当に成功することにやりがいを感じる。同時に、自分の仕事の価値を認めてもらい、評価してもらい、一目おかれたいとも考えている。そのため、昇給や昇進は重要である。"


    Part2: あるカスタマーサクセスリーダーの一日


    プレゼンテーションのはじめに

    ではここからはゲストをお招きして、『カスタマーサクセス・プロフェッショナル』全4部構成のうち、第2部の第3章「あるカスタマーサクセスマネージャーの1日」をテーマに談義を進めていきます。

    まず、書籍内で紹介されているのは、省略しますがこんな14個のことです。

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    最初は、「まずカレンダーを確認する」、「自分発のToDoリストを確認する」、「受信箱のメッセージを確認する」から始まります。

    ごく普通のことですが、ポイントはあります。

    皆さんが結構やりがちなのは受信箱からチェックしてしまうことではないでしょうか。それは間違いで、まずカレンダーを見てから、今日1日の仕事の優先順位をしっかりと把握しましょう。そして自分発のリストを優先させて、それから初めて受信箱を見ましょう。

    非常にベーシックなことですが、徹底することが実はカスタマーサクセスマネージャーには重要なんじゃないかと思っています。

    ではいよいよ、ゲストの方々に実際のある1日を紹介してもらいましょう。

    題して、「あるカスタマーサクセスリーダーの1日」。

    なぜマネージャーではなく、あえてリーダーに設定し直したのかと言えば、本日の豪華ゲストスピーカー4名はいずれも日本のカスタマーサクセスを代表するリーダーだからです!


    “グローバルリーダーな1日” by是村さん

    是村 潤氏(以下、是村):

    皆さん、初めまして。CircleCIという会社の、ジャパンとAPACのカスタマーサクセスのディレクターをしている是村 潤と申します。CircleCIはサンフランシスコの会社で、その日本法人、東京オフィスに私はいます。

    この「グローバルリーダーな1日」はグローバルにアラインしつつ、日本のカスタマーやメンバーとも向き合うところをポイントに、ある僕の典型的な1日をまとめています。

    青色はグローバル関連、主にアメリカのメンバーとの打ち合わせで、緑色はCSチーム内との打ち合わせの時間、黄色は日本のマネジメントメンバーや他チームとの打ち合わせです。

    もう少し突っ込んだ話をすると、朝8時くらいに1日が始まります。ご存じのようにアメリカは同時間に夕方4時あたりなので、火曜から金曜までの午前中はグローバルとのミーティングにほとんど充てられていて青色です。

    そのあとは緑色で、自分たちカスタマーサクセスチームのメンバーとミーティングをしています。全体方針や状況の確認であったり、あるいは学びの共有であったり、あるいはその週のタスク確認などをやっています。

    ランチタイムには、チームで課題図書を決めて読む「もくもく読書会」や、他のチームメンバーと一緒にゲーム的な遊びをしながらのランチをすることもあります。

    そのあとはデイリースクラム、1on1などでメンバーのタスク状況確認などを多めに行います。今はリモート環境なので、頻繁にコミュニケーションを取るように心がけていますね。

    夕方になってくると黄色の、日本のマネジメントメンバーや他部署のチームメンバーとの打ち合わせも入ってきます。

    そして、「スプリントプランニング」は週の最後の金曜日にやります。その1週間にカスタマーサクセスメンバーでやってきたことの振り返りと、次の週のタスクを洗い出して確認する場です。Trelloというツールを使いながら、みんなで見える化して行っています。

    僕は夕方5時ぐらいまでにミーティングは極力終わらせて、近くのジムに通ったり、共用オフィスのWeWorkでちょっとビール1杯。これが典型的な1日になります。


    “テックタッチな1日” by小泉さん

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    小泉雅人氏(以下、小泉):

    Ciscoの小泉と申します。Ciscoでは、データやデジタルエンゲージメントを通してカスタマーサクセスをスケールさせる仕事を行っていて、現在は日本を含むアジアパシフィック全域を担当するチームのリーダーをしています。

    そんな私の1日をひと言で言うと、「テックタッチな1日」ですね。

    ポイントは、地道にお客さんの解像度を上げていき、仮定、検証を繰り返しながらカスタマーサクセスをスケールさせていくところです。

    具体的には、是村さんと一緒で、我々もアメリカの会社ですので、朝一にアメリカとの会議が立て続けに入ります。ここでは、主に新しい製品に対するカスタマージャーニーのリリースのアップデート、議論をしたり、最終的な合意をしたりします。また、アジアパシフィックで行っているパイロットの情報提供や、それをグローバルに展開するための話し合いもしています。

    アメリカとの打ち合わせが落ち着くと、1対1のミーティングをチームメンバー全員と行います。今取り組んでいることの進捗や、何か障害はないかを確認したり、月終わりにはパフォーマンスレビューや翌月のプラン、また人事関連のキャリアパスなど色々な話をします。

    そのあとは、アジアパシフィックのステークホルダーとの会議です。

    主にミッドタッチのCSMのメンバーやリーダーと、優先事項の確認やテックタッチのアップデートを行います。私はよく「社内向けテックタッチ」と呼んでいるんですが、データやデジタルエンゲージメントを通して、ミッドタッチのCSMが効率よく動ける方法なども議論しています。

    そのあとは、同じ部門にユーザーリサーチやデータ分析をそれぞれ行う専門の部隊がいますので、直近に行った顧客インタビューや分析の報告を受けます。また、次のリサーチや分析に向けた議論も行っています。

    時間は逆行しますが、こういった顧客インタビューやデータ分析から共通項やパターンを見つけ、先ほどのアジアパシフィックのミッドタッチのメンバーと小さくパイロットを行って、仮定の検証をしつつ、最終的にグローバルで展開をするのが主な仕事の流れです。

    最後にマネージャーミーティングを挟んで、やっと自分の時間ができます。そこでアクションアイテムとして上がったものを処理しています。ざっとですが、これが私の1日です。


    “ハイタッチな1日” by礒野さん

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    礒野 亘氏(以下、礒野):

    初めまして、beBitの礒野と申します。今は「USERGRAM(ユーザグラム)」というUXチームクラウドサービスのカスタマーサクセスと、インサイドセールスを担当しています。

    私のテーマは「ハイタッチな1日」です。

    ご覧の通り、わりと日中は赤色のお客様対応が入っています。なので朝はその顧客対応を見据えつつ、まずはお客様のログインデータや利用状況の確認をします。

    ここでポイントなのは、たとえ自分が1人でお客様対応をしたとしても、次に他のメンバーが継続して対応できるよう、対応内容をきちんと残しておくことです。図の午前11時にある「顧客とのやりとりを入力」の時間帯に、社内システムへの地道な入力を行っています。

    お昼休憩のあとは、お客様とのオンボーディングセッションです。昔は対面でしたが、今はリモートで行っています。4対2ぐらいのワークショップ形式が多いです。オンボーディングセッションに当たっては、事前に社内で役割分担をしたり、終了後にセッションを社内で振り返ったり、チームメンバー同士でのコミュニケーションも前後に行っています。

    日中はお客様とのやり取りがとても多く、目の前のお客様の視点で考えることが多いので、18時ぐらいからは目標進捗の確認やヘルススコアチェックを行い、今の方向性でいいのか、他の視点はないのかを常に客観的に確認してから1日を終えるようにしています。


    “コミュニティタッチな1日” by岩田さん

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    岩田健吾氏(以下、岩田):

    Reproの岩田です。私のテーマは「コミュニティタッチな1日」です。

    コミュニティなど新しいものを立ち上げる際は、往々にして新しいことだけに集中できないと思うんです。ですので、お客さん対応をやりつつ、コミュニティの立ち上げもやるというような特徴的な1日を描いてみました。

    見ていただくと、赤色の顧客対応と、それ以外のコミュニティ関連で分かれているのがお分かりになると思います。

    まず顧客対応ですが、「顧客オンボーディングサポートMTG」が13時からあります。このミーティングは定期的にあり、Repro導入の場合ですと、お客様自身の手でマーケティング施策のPDCAが回せるようになるのがすごく大事なので、そのためのレビューをします。

    また15時からは「問い合わせ相談ミーティング」があります。これも特徴的なんですが、ReproのようなマーケティングSaaSの場合、活用にはエンジニアの技術が 必要になるんですね。新機能を使いたいけれどうまく実装ができないなどの相談を受けたときには、エンジニアに同席してもらって技術的な問題を解消しています。

    残りは青色のコミュニティ関連です。コミュニティを立ち上げる上で、UXやジャーニーの設計を入念に行い、その上でROIを考えることが重要なので、16〜18時の時間帯でコミュニティ戦略を練ります。

    そして18時以降、実際にユーザーミートアップを開催します。ただイベントは開催して終わりではなく、データを振り返って次にどんな施策を打っていくのかを検討することが必要なので、翌日以降のお昼12時の「コミュニティ定例会議」で、前回イベントの振り返りや、次にどういう施策を回していくのかなどを議論します。


    Part3: カスタマーサクセスリーダーの仕事術


    孤独になりがちなハイタッチはチームで行う

    弘子:

    ありがとうございます。ここからは視聴者の質問も受け付けながら、カスタマーサクセスマネージャーの特性の視点から切り込んだトークを全員で行っていきたいと思います。

    まず、カスタマーサクセスマネージャーの特性の1つ目は、“エンパシー(共感性)が強い”こと。ここはクライアントリレーションの点から、「ハイタッチな1日」に目がいくんですが、礒野さんいかがでしょうか。

    礒野:

    放っておくと、めちゃくちゃ孤独になりますね。

    弘子:

    え、そうなんですか?

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    礒野:

    たとえば、コロナの前は特にでしたが、ずっと社外にいるわけですよ。それこそ営業社員のように、朝はA社、昼はB社、C社、というスケジュールも結構ある。そんな日は社内メンバーとほとんどコミュニケーションをせず、ひたすらにお客様とやり取りしています。

    けれど、お客様からはそんなに都度フィードバックをもらえないですよね。社内メンバーと同行すると「今日良かったよね」などすぐに振り返りができるので、その辺りを工夫して、孤独になりすぎないようにはしています。

    弘子:

    孤独にならないハイタッチ、要するに、個人ではなくチームでのハイタッチにするということを心掛けられているということでしょうか。そういえば先ほどのお話でも、社内システムに顧客とのやりとりを入力する時間をしっかり割いていましたね。

    礒野:

    そうですね。カスタマーサクセスをやる上で、属人化させないという点は永遠のテーマだと思います。とある担当者がお客様と良い関係性を築いて、とてもうまくやっている。でもそれはリスクにもなり得ますよね。

    弘子:

    なりますね。

    礒野:

    そういうときに、お互いに複数人で関係性を築いていると、仮に誰かが産休や異動などで外れたとしても、会社と会社の関係性自体には影響なく進めていける。なるべくリスクヘッジをできるように、シェアリングにはかなり工数を割いています。

    弘子:

    なるほど。岩田さんも何か言いたそうにされていますね。孤独になりがちなハイタッチ、どうですか。

    岩田:

    いや、本当に孤独になりますよね。

    弘子:

    回避する秘訣はあるんでしょうか。

    岩田:

    お客様と顔を合わせることは、孤独を回避する上で重要かなとは思います。コロナ禍では対面で会うことが少なくなって、Slackでコミュニケーションを取れば十分なことも増えているじゃないですか。わりとそれで問題は解決できるんですけれど、「すみません。この問題は複雑なので、10分だけお電話でお話できませんか」と伝えて、あえてビデオミーティングでお話しすることはあります。Slackで30分やり取りするより、10分ビデオや電話で話した方が良かったりするので。

    弘子:

    Slackで30分もチャットをやるんですか?

    岩田:

    結構ありますね。

    弘子:

    皆さんの表情を見ると、皆さん結構チャットをやっているんですね。私はあんまりやっていないんですが、普段アメリカにいて時差があるというのもあるのかな。「起きたら読んで」というようなメッセージをすることが多いので驚きました。


    テックタッチをチームの力で極める

    弘子:

    では特性2つ目の、“データないしロジックドリブンでいく”。ここはやっぱり小泉さんですよね。

    私、小泉さんのある1日を見て凄く目から鱗だったのは、データ分析も孤独になりがちに思うんですが、やっぱりチームワークなんですよね。全部を自分でやろうと思っちゃいけないし、やれるわけもない。

    一方で、分析もチームワークでやるとすると関与する人が大勢いる中で、地味に大変なことも多いのではと思うんです。その辺りうまく進める秘訣はあるんですか?

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    小泉:

    そうですね。データがうまく扱える人は、一方でビジネス面に少し欠けている部分もあるので、いかにその人にビジネス要件をインプットしていくかというところですね。

    弘子:

    面白いですね。

    小泉:

    データ分析は、ビジネスの背景や文脈を考えず進めてしまうと、何の意味もない結果しか出てこないですから、ビジネス要件インプットは重要です。

    ただ、そのようにして専門性のある人物を立てることで大きなデータが簡単に扱えて、高度な分析ができるメリットは大きいですよね。われわれがエクセルでコツコツやるよりもはるかに大きな分析を、SQLやPythonで一気にやってしまえるので。

    弘子:

    そうですね。チームになればなるほど、いろんなことができますよね。

    ちょうど視聴者から小泉さんへの質問です。「カスタマーサクセスジャーニーの見直しは、どれぐらいの頻度でやってますか?」。

    小泉:

    そうですね。「常に」が答えではありますけれど。でも毎月は必ず何かしら見ていますね。ジャーニーが長いので、月に1回はどこかしら見るところが出てきます。そして3カ月に1回は全体を見ますね。


    多様性あるチームマネジメントの秘訣

    弘子:

    では、特性3つ目、“多様性あるチームワーク”のマネジメントに入っていきます。ここをお聞きするのはやはり是村さんですね。

    是村さんのある1日を見ていて、凄いなと思って。いろんな人を動かすこと自体がお仕事なんですよね。今までのご経験も踏まえて、多様な人々とうまく仕事を進める、うまくチームワークさせる秘訣は何だと思われますか?

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    是村:

    そうですね。今の僕のチームは基本的には日本人のメンバーで構成されていて、海外も担当していますが、それ以前の経験も踏まえてお伝えするなら、会社としてのKPIとは別に、それぞれにはそれぞれの目的がある、ということでしょうか。

    その人が個人として「このために仕事している」「このためにやっている」というような根っこを1on1などで把握してリスペクトすることを大事にしています。仕事での目標と、個人の目標とが両方満たせるような支援をできるだけしたいと思いますね。

    弘子:

    ありがとうございます。

    是村:

    “動かす”よりは、自ら“動いてもらう”

    弘子:

    ああ、いいですね、その表現。

    是村:

    本当に、そんな感じです。

    弘子:

    それでいくと、小泉さんも結構チームメンバーと1on1をしっかりされていましたね。インターナルコミュニケーションにしっかり時間を使われている理由はあるんでしょうか。

    小泉:

    まさに是村さんと一緒で、自ら動いてもらうためには何が障壁なのかを見つけ出して、それをマネージャーとしてどう排除していくかを意識してやっています。

    私はゆるいアジャイル開発でカスタマーサクセスは必ず進めるべきだと思っているので、そのやり方でどんどん進んでもらうためには、頻繁にコミュニケーションを取って進捗確認をすること。

    また、外資系はサイロになりがちなので、マネージャーが点と点をつなげてあげることが重要だと思っています。

    弘子:

    外資系で働いていると、本当にサイロになりがちですよね。

    是村:

    同じですね。サイロになるがために、他の部署やチームの目標をあまり理解できていない場合もあるので、「自分のチームはこういうものを目指して、こういうことをやっています」と外側に向けて知らしめるのもマネージャーの役割と僕は思っています。

    弘子:

    なるほど、発信するんですね。それも是村さん流のマネジメントの秘訣と受け止めました。


    進捗確認は個社単位に落として

    弘子:

    ここで視聴者からの質問を2つほどピックアップします。

    まず、「礒野さんの1日が、私の1日と非常に近く参考になりました。顧客対応が続くと近視眼的になりがちなので、目標の進捗確認は大切ですよね。その際にどのようなKPIを使っていますか」。

    礒野:

    ご質問ありがとうございます。弊社ではカスタマーサクセスにヘルススコアを設定しています。そのヘルススコアが高ければ一定成功しているであろうと判断して、その成功の社数を全体のKPIに置いています。

    そこからブレイクダウンしていって、何社を成功に導くかのチーム目標があるので、その目標に照らし合わせて、自分の見ているお客様の場合を考え、成功に至るために足りない部分を知るためにステータスを見にいきます。

    オンボーディングはしているけれども定着がうまくいっていないお客様もいれば、定着はしているけれどビジネスアウトカムにはつながっていないお客様もいる。じゃあ何週間後までに改善するために今どんな布石を打っておくべきか、そういった振り返りをしています。

    弘子:

    なるほど。最終的には顧客別なんですね。でも、すごく大切な観点ですね。


    エンタープライズへの対応の工夫

    弘子:

    もう1つの質問は、「エンタープライズ企業様に向けた、特にオンボーディングの工夫や秘訣を教えてください」というものです。礒野さんと岩田さん、いかがでしょうか。

    礒野:

    エンタープライズでいくと、やはり中小企業とは全く違うという認識を強烈に持つことだと思います。中小企業である程度オンボーディングの型ができているとそれを転用しがちですが、もうゼロからつくったほうがいいです。そのくらい全く別物だと思っています。

    また関係者の数がとても多く、スピードはそこまで速くはないので、そこを前提に関係する方々への入念なコミュニケーションを心がけています。

    岩田:

    エンタープライズの場合、やはり営業段階が一番大事ですよね。まずクライアントの目指すビジネスの世界観という大きな画があって、そこから要件設計がされて受注に至る。

    たとえば、「今後DXを目指すとするなら、マルチチャネルでのマーケティングが必要。そのためにはこのデータのエコシステムが必要、なのでReproですね」というような。

    なので、営業の段階できちんと目的定義と目標設定をして、それをカスタマーサクセスがきちんと引き継ぐのが大事だと思います。

    弊社では受注時にカスタマーサクセスはまず営業と社内ミーティングをして、複数回のクライアントミーティングにも同席するなど、常に営業と並走して対応することを大切にしています。


    未踏へのチャレンジをどう設計するか

    弘子:

    では、最後の特性4つ目に移ります。“未知、未踏へのチャレンジ”。

    これは岩田さん聞かせてください。私の知ってる限りでもいろいろな新しいことに常にチャレンジされていますよね。その際に何か心がけていることはありますか?

    岩田:

    たとえばオンボーディングを設計したり、新しくテックタッチを考えたり、コミュニティタッチを始めたり、まあ、切り込み隊長みたいなものですよね(笑)。

    弘子:

    そうそう、切り込み隊長。

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    岩田:

    本当に当たるのかな、よく分からないな、という未知の領域を進むので、リサーチは結構大切にはしていると思います。僕自身、結構ビビリでして(笑)。

    弘子:

    え、そうなんですか?

    岩田:

    そうなんですよ。本当に当たるのかな、と凄く不安なんですよね。なので、事前に徹底的にリサーチすることは強く意識しています。意外と平日よりも、休日や深夜帯にふと調べ出すものが一番良いアイデアにつながったりしていますね。

    弘子:

    そうなんですか。ちょうど今入ってきた質問があります。「コミュニティ施策と顧客対応と両方をやっていると、自分の時間を含めてリソース不足になりませんか。担当顧客が多い場合、どのような工夫をしていますか」。

    岩田:

    そうですね、コミュニティの立ち上げ当時は、顧客を50社ほど持ってました。

    弘子:

    すごいですね。

    岩田:

    工夫ポイントは特になく、気合いで。

    弘子:

    気合い…!

    岩田:

    ただ、今では、コミュニティの立ち上げは段階にやるべきだったと反省しています。最初の切り込みフェーズと、ある程度まで体系化したときに専任チームをつくって業務を譲渡するフェーズがあると思うんですが、そこのスイッチの切り替えがうまくできなかったので、皆さんにはぜひ注意して進んでいただけたらと思います。


    カスタマーサクセスという仕事の魅力

    弘子:

    では本日のセッションの締めくくりに、お一人ずつ、カスタマーサクセスの魅力をひと言でお話いただければと思います。是村さん、トップバッターお願いできますか?

    是村:

    そうですね。ひと言で言うと、“矛盾のないロール”かなと思います。

    弘子:

    どういう意味でしょうか?

    是村:

    「SaaSはビジネス自体に矛盾のないビジネスモデルで素晴らしい」と以前に言っていた方がいました。お客様が使って、満足したら使い続けて成り立つ。満足いかなかったらやめる。正しいものをつくれば使い続けてもらえる。だからシンプルでビジネスに矛盾がないんだと。

    それはカスタマーサクセスの概念と一緒だと思ったんです。まさにその言葉を体言化した、矛盾のないロール。言葉自体は借り物ですけれども。

    弘子:

    矛盾のないロール。このあと、流行りそうな予感がします。次、小泉さんいかがでしょう。

    小泉:

    カスタマーサクセスの魅力というか、今やっていて楽しいのは、“Connecting the dots”。点と点をつなげていけるところが、とても楽しいですよね。やっているとお客様がよりクリアに見えてきて、そこからさらにお客様にどんどん使ってもらえて…。

    やっぱり1つ1つの点を丁寧につなげていった結果スケールしていくのは面白いですね。

    弘子:

    ありがとうございます。次に礒野さん、お願いします。

    礒野:

    私は、長期の信頼がビジネスにつながることかなと思っています。私はもともとコンサルをやっていたんですが、コンサルは、どうしてもこの3カ月、この1年というスポットのお付き合いになるんですよね。売り切りモデルの営業であれば、さらに契約までの短い期間になると思うんです。

    けれどカスタマーサクセスはお客様と長期で信頼関係を築いていくことが大事で、またその行為自体が会社に非常に貢献できるもの。私はとてもやりがいのある仕事だと思ってます。

    弘子:

    以前にライフワークだとおっしゃってましたもんね。では最後、岩田さんお願いします。

    岩田:

    そうですね。カスタマーサクセスの魅力は、事業会社であり支援会社であるというところかなと思っています。

    弘子:

    面白いですね。

    岩田:

    たとえばReproの場合、支援会社としてお客様のデジタルマーケティングの支援やコンサルティングを行っています。不動産から人材からECからゲームから、さまざまな業種が見られるので、そこがまず面白いと思っています。また同時に自社のSaaSビジネスをよりスケールさせるにはどういう取り組みが必要なのかという事業会社としての面白さもある。両方を楽しめるのは非常に魅力的だと思っています。

    弘子:

    なるほど。確かにそれはその通りですね。本日は皆さま、貴重なお話をありがとうございました!

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